てつはみの集積場

好きな物について書いていく、感想の集積場です

『吐き出した毒林檎』の話

鏡よ、鏡。この世で一番美しいのはだあれ?
女王さま、それは激重感情を持った女の子にございます。

どうも、てつはみです。

 

第一部の旅を経て、副題を『クロニカ・リコレクション』と新たに銘打ち始まった待望の第二部一章『吐き出した毒林檎』。先日、その全編が更新されました。
という訳で今回はその感想記事になります。

 

 

※ここから先は偽りのアリス第一部全編及び第二部一章のネタバレを含みます。ネタバレが苦手な方、自分の目で結末を見届けたい方などはブラウザバックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

――ブラウザバックしました?

――――もう大丈夫ですか?

――――――話しますね?

 

こういうくどい事するの、嫌いじゃないんですけどやりすぎると折角読んで下さってる方もブラバさせてしまいそうなのでこの辺で。

手早く本題に入りましょう。

 

ホンッッッットに最高……!!!!!

・単純なストーリーとしても、キャラクター達の感情の交錯としても、クロニカ・リコレクションという新たな展開の見せ方としても、何もかもがあまりにも完璧すぎる。

 

・クリスやっばい。あんな如何にも厄介そうな登場&立ち回りをしておいてその実、めちゃくちゃ義娘が好きなだけっていう単純かつ最強の行動原理。それ故に、グリムがクリスにシルシを付けてたら滅多な隙も無く完璧な、自分がマリアに殺されるリコレクションを成立させてたんだろうな、って想像出来るのがなお怖い。

 でも、マリアの根底にある『食事』という行動がシルシによってフィーチャーされて暴食に至ったのならクリスも同様にバグって、マリアへの愛を爆発させるリコレクションになってたのかもしれない。それはそれで怖い。

 

・マリアもやっばい。サービス開始から居たキャラクターをあそこまで綺麗に活かせるの、どこまで考えてたんだって思ってしまう。

↑『偽りのアリス』のシナリオライターである富岡さんの、第一部完結後のツイート

上のツイートを見る限りマリアとクリスの関係性(それどころかクリスの存在自体)も、マリアの過去も、『悪食』のダブルミーニングも、描かれる事無く終わってた可能性もある訳で。そんな世界にならなくて本当に良かった。

 親子親子してるマリアとクリスめちゃくちゃ良き~~~~~~~。ずっとあんな事してて欲しいな……。マリアにめちゃくちゃ嫌がられても思春期の娘可愛いなーでやり過ごせるクリス側が強すぎる。

 

スノーホワイトもやっばいんだ。今回のメインキャラである三人の中で一番マトモなのは彼女かもしれない。嘘、マトモではない。マトモだったら最初からもう少し話を聞いてくれる。

 でも大切な七人の小人を殺されて激昂したり、クロニカで叶わなかった理想を敵であるクリスに見つけてしまったり、それを圧してもクリスとマリアの世界を見守ったり、一番人間らしいのはきっと彼女なんだよな。素直になって二人に混じってきて良いんだよ、クリスも別に拒まないだろうし、マリアは矛先が逸れて喜ぶよ。

 

・シンデレラとアルター・グレーテルが来るの、予想外とかそういう次元じゃなくビビった。メインストーリーで相対して、障害として乗り越えてそれで終わり。じゃなくてあくまでもあの箱庭世界で彼女たちなりに前を向いて生きている。そういうの、良いですよね。

 ちょっとだけ夏イベの話。シンデレラの『不幸酔い』をああやって使うのズル過ぎる。第一部二章であんな慟哭した奴が、それからしばらくして海の家でかき氷ショリショリしてるとか誰が想像出来るのか。でもそんなシンデレラも可愛いのでオッケーです。

 

・どけ!先生はアリスの親だぞ! 第一部五章でも話にはあったけどいつかアリスと先生が離れる日が来るかもしれない。それはアリスが本物になるのか、他に大事な物を見つけるのか、はたまた違う何かが起こるのかは分からないけど、そういう日が来るのは決して”無い話”ではない。うわ~~~~、子離れ出来る気がしなーい。

 書いてて普通にしんみりしてきてしまう。遠くに行ってもお正月とかお盆とかにはこっちに帰って来てくれたりしないかな……。食事もお金もさほど要らないアルターには何を仕送りしたら良いんだろう…………。

 

・トゥイ―ドルディ/ドルダムは……うん、災難だったね……。厄介事を吹っ掛けやすく、退場させやすい。その上リコレクションにおいては例外として描写がしやすい。こんな言い方をすると怒られそうだけど、とても便利。

 

・最初にスノーホワイトと出会った時、スノーホワイトは木の上になった林檎を一人で採ろうとして、失敗して倒れていました。

 それに対し、物語の最後でマリアとクリスは肩車をして二人で協力する事で木の上の林檎を手に入れるんですよね。

そういう事するのは反則でしょ!!!

 

・しかしそうして得られた美味しそうな林檎も結局は酸っぱかった。でもその酸っぱさだってやっとの思いで掴む事をしなければ分からなかった。それはきっと、最初から諦めて「どうせあの林檎は美味しくないさ、だから食べなくても良いさ」って自分の中で終わらせるよりもずっとずっと意味のある行為だと思うのです。

 

・ところで、どうしても手が届かないブドウに対してどうせあんなブドウは酸っぱくて食えたもんじゃないから食べられなくても良いさと諦める、って主旨の童話がありまして。『酸っぱい葡萄』って話なんですけど、第二部一章の完結と同じタイミングでそのアルターが実装されて、その子をメインにしたイベントも始まってるんですよね。

 考えすぎかもしれないんですけどもし全部計算づくだとしたらもう、膝を打つ他ありません。構成が巧すぎる。

 

 

偽りのアリス第二部『クロニカ・リコレクション』。新たなる司書の存在も明らかになり、まだまだ始まったばかりのこの物語。今後どう話が進んでいくのか、誰のリコレクションが行われるのか、興味は尽きませんが今日の所はこの辺で。

それでは、また。