てつはみの集積場

好きな物について書いていく、感想の集積場です

『奈落の堕ちた神』の話

どうも、てつはみです。

 

こちらは2022年5月末に更新された、偽りのアリス第二部四章「奈落の堕ちた神」についての感想記事です。
当時の空気感や感じ方の備忘録として、メインストーリーは全編待たずともその都度で記事更新していこうかな~、とか考えてたら全編一気に更新されてめちゃくちゃ驚きました。

でもやっぱり新鮮な気持ちで全編一気に読めるのは良いですね。自分の中に物語が詰め込まれていく感覚がたまりません。最高。

 

さて。書きたい事がいっぱいあるので前置きもそこそこに本題に入りましょう。

※ここから先は偽りのアリス第二部四章までのネタバレを含みます。ネタバレが苦手な方、自分の目で物語を見届けたい方などはブラウザバックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この章のために今までの『偽りのアリス』があったと言っても過言じゃない!!最高!!!!

第一部からのアリスとの旅路も、アルター・アリスの存在も、リデルの暴走も、先生の決意も、第二部で成してきたシルシ持ちアルターとの戦いも、グリムとの激突も、全部を活かしてこの一章でぶつけてきましたね。物語に伴う重みがとんでもなかった……。本当に最高過ぎる…………。

 

・クリス エマ 三蔵

Page1から一緒に居た三人(もう一人は後述します)の名前を代表としてあげますが、書きたい括りとしてはもう少し広く『先生とアリスに協力してくれるアルター』ですね。クリムやヴェイルも、ひとまずここに区分して良いでしょう。
先生とアリスが今まで刻んで来た軌跡があったからこそ、彼女たちは先生とアリスのために力を貸してくれるわけで。シルシジュリアのイベントで楽園にて仲間の居ない世界と誤った選択をまざまざと見せつけられた後だと尚更、沁みるものがありますね。
あの選択においては間違えさせられてしまったけれど、これまで歩んできた道は決して誤りではなかった。改めてそう肯定されたような気分です。

 

・カムペー

こいつ~~~~~~~~。何だかんだあったけど案外嫌いじゃないぞ。
カムペーに関しては最早一種の癒しみたいな所がある気さえしています。何でだろう。
似たタイプのドルディと比べても作中で描写されてる限りは直接的なグロ行為をあんまり行ってないからか、敵役としてカムペーなんかよりずっと分かりやすいのが居たからか、というかそもそもライター様もカムペーで遊んでる感じが滲み出ていたからか。
あと弱い者いじめはともかくとして根っこはマトモっぽい、あの手のタイプにしては話通じる方、という話もある。イベントで長い物にいっぱい巻かれてくれ。

 

イカロス

イカロス……!差分絵二つとも凄かった……。イツアリは表情差分すらほんの一握りにしかないからこそ、こういう形で差分が実装されるとインパクトが凄いですね。差分一枚目の強い眼差しも、二枚目のニヒルな笑みも、大好きです。
それともう一つ、原典の本がどういう物なのかも恐らく初めて明かされましたね。出来事を広く編纂されやすい神話だからこそ、というのはありそうですがアルターは物語の主役であったとは限らない。たった二行からでも失敗作世界でアルターとして自我を持つ。
果たしてそれは幸福なのか、不幸なのか。自分がそれを断ずる事は出来ませんが、先生がタルタロス・クロニカに突入する基盤を作り、その先でセレネに打ち克ち、グリムの心を動かした。原典においてイカロスは二行程度の端役でしたが、この物語においては文句なしの主役でした。それだけは言えます。

 

・セレネ

今まで神らしい神が居なかった中で初めて、ヒトとは隔絶した神が現れましたね。思考の飛躍の仕方とかが如何にも神っぽくて、そこでちょっとテンション上がりました。
しかも当人(当神?)はシルシ持ちで、更にジュリアにシルシを与えたのもセレネだと判明します。ふむ……、確かにグリムよりもキラキラしている。出て来た時の画面の白色率が凄い。ジュリアの言は正しかった。
大いなる神による歪んだ思いやりを矮小なヒトの意志や努力の力で乗り越え、塗り替えていく。こういう展開良いですよね……。好きだ……。
奈落の堕ちた神セレネと、消えない翼で空を目指したイカロス。相変わらず対比が上手すぎる。今後もイカロスやジュリアとどんな関係を築いていくのか、楽しみですね。

 

・カーレン

結局彼女は、アルターであるカーレンの意志を残しつつも歪のシルシによってアンデルセンの復活を第一目標に設定された子。という認識で良いんですかね。元々『カーレンという少女(赤い靴が主導権を持ってるっぽい)』という意識の所在が分かりにくいアルターなのに、シルシが絡んでいるせいで更にカオスになっている。
でも敵としては十分すぎる活躍っぷりでしたね。二部三章も含めて、かなり印象の強い存在なのは間違いないでしょう。先述の二人とはまた別の意味で、今後の出番が気になるアルターです。

 

・グリム

二部二章の後半にて初めて姿を現し、2022年の元旦にプレイアブルとして実装され、そこから更に約半年……。ようやく司書グリムについて、シャルロッテ・グリム・アマーリエという少女について少し知ることが出来た気がします。
ホントに良いキャラしてる。深化ストーリーの話なので軽く触れるだけにしますが、『先生』をあそこまで上手く使われるともう感服するしかない。
アルター・グレーテルが司書グリムの作品であると明かされ、グリムは『作品と作者の人格は切り離せない』という考え方である以上、グリム童話アルターからそれなりにグリムの過去を推察する事が出来るの、めちゃくちゃ良いですよね。輝く表舞台に出なかったシンデレラとか、ねぇ?
随所で創作への想いが見えたり、最終決戦の前に起こるのがネタ出し会議だったり、正しく作者って感じがして好きです。

 

・アリス・リデル

一部終章以降、アリスと先生の旅路を応援していた。だからこそ先生に対して牙を剥く。当初は駄作のアリスとして偽りのアリスを欲していたはずなのに、アリスと先生のファンのようになっているのかなり好き。
リデル自身、偽りのアリスに自分を重ねていたのかも、とか考えたりします。自分を認め、求めてくれる相手の存在を望んでいたからこそ、偽りのアリス視点で見た時にそれを裏切るような行為をした先生の事が自分事のように許せなかった。それだけ偽りのアリスの事を想ってもらえているのなら、なんだかこっちも嬉しくなりますね。
アルター・アリスといいアリス・リデルといい、アリス属性は先生の身近に潜みがち。
今回でも、リデルが望んで司書になった訳では無さそう、というシーンがいくつか見られましたね。裏で糸を引いているのは誰なのか……。

 

アルター・アリス

最 高 。
二部三章の最後でチラッと出てきて、それをここで回収するか~~、とストーリー読みながら感動しましたね。
そうなんですよカーレンさん。この子は偽りのアリスよりずっとストレートにラブコメするし、ずっとバカなんですよ。そこが最高なんですけどね。Twitterとかで言ったか忘れましたが、アルター・アリスをちゃんとメインヒロインらしく書いた上で今のポジションに落とし込んでるの、丁寧でかなり好き。無慈悲。
一部五章の流れをキャストを変えて再演――リコレクションするのも本当に凄い。第二部の副題はクロニカ・リコレクションですからね。
アルター・アリスとグリムのキャラストーリーに関しては作品をより理解するための必修科目みたいな節があるので二部四章越えた人は特に、無理のない範囲で出来るだけ絶対に読んで欲しさがあります、是非に。

 

・アリス

おかえり。もし良ければ、これからもよろしくね。
…………いや、また会えた事が感無量で上手く言葉にならないですね。妹分でお姫様で偽りではない、それでも先生と一緒に旅をする事を選んでくれたアリス。
『必要じゃない。傍にいてほしい。だけど、自由にしていい。』このもどかしくて何とも言い難い距離感が、あぁ先生とアリスだなぁって感じがして良いですね。他の項に増して語彙力が無い。
派生した話ですが、六月イベントの『あなたが落とした金の恋』でアリスが出て来たときの安堵と喜びが凄かった。ヘルメースに相性見てもらうシーン可愛すぎない?アリスの一挙手一投足が可愛い。
ちなみにこのシーン、恐らく二部四章クリア後とそれ以前でテキスト変わってるっぽいです。サブアカをお持ちの方は確認してみると面白いかもしれません。ヘルメース、ちゃんと神だ。

 

アンデルセン

本邦初公開、って言いながらタイトル画面でチラ見えしてるのちょっと面白い。あ、そういう事ではなく?
ようやく本人(本人ではない)が登場し、一層盛り上がってきました。グリムと同じ様に創作者らしい面は覗かせつつ、別の意味で良いキャラしてますね。総合的に見て、三人の中で司書として一番マトモなのはグリムかもしれない。
一癖も二癖もあるキャラであり、まだ真意らしい真意が見えていないのでそこも気になる所ですね。
ところでアンデルセンがああやって出て来た事により、先生の容姿が更に謎に包まれました。いつかメディアミックスで明かされれば良いな。

 

・ホワイトラビット

このアルターに関しては、司書と同じかそれ以上に何でもアリな上に真意も何も読めないのでほ~~~~~~~ん!って未だになってるのが正直な感想ですね。アリス・クロニカが待ち遠しい。

ホワイトラビット/ラビについて以前にふせったーでちょっと考えや与太話を纏めたので、興味のある方はリンク先にどうぞ。3000文字くらいあるみたいです。

https://fusetter.com/tw/mALXWxTE#all 
リンク先はふせったー。

 

まとめ

クオリティ向上のため一ヶ月の延期がありましたが、そんなの微塵も気にならないくらい掛け値なしに最高のストーリーでした。シルシが一回限りのルールであったり、二部を通してワンダーランドクロニカのアルターが良く出てくるであったり、伏線の張り方も活かし方も回収の仕方も本当に見事で素晴らしいの一言に尽きます。

次の五章にも期待が高まる所ですが、そろそろ二部も終わりの気配が近づいてきました。めでたくサービス開始から1000日が経ち、それでもなおまだまだアルターたちが紡ぐ物語の魅力は底が見えません。
失敗作だらけの世界の最後がどうなるのか。その先に続くはずの素敵でより良い未来にも期待をしながら、今回はここで締めたいと思います。

 

それでは、また。

 

眠れない森の美女と■番目の友達の話

えっ!?急にシルシ関連の話ぶっこんでくるじゃん!?!?

 

急に大声ですみません。どうも、てつはみです。

この記事は偽りのアリス2022年5月イベント『眠れない森の美女』の感想記事になっています。
いやぁ、凄かった……。急にメインシナリオ前提のイベントを始めたのも驚きましたし、この内容を期間限定イベントでやるのにもちょっとビックリしています。一年待てばメモリーレコードに実装されて新規の方も見れるとは思いますが。

 

さて、今回のイベントはメインシナリオの進行に関係なく誰でもプレイ出来るシナリオではありつつ、グリムの存在や幻影の話、そもそもがシルシに関するストーリーであったりなど、二部三章までのネタバレを含む珍しいタイプのイベントでした。

ですがネタバレとしても最小限に表層をなぞるだけで、もっと面白さが染み出す中核的な箇所には触れて無かったりするのでそこら辺の要素の出し方が上手いな~という感じがしますね。
なので二部三章クリア前に今回のイベントを読んだ人も安心してください。メインシナリオ、めちゃくちゃ面白いです。

今回のイベントを読んでから二部三章を読んだ人の感想とかも是非聞いてみたいですね。読み返してみると、きっと違う角度で刺されると思うのでオトクです。

 

以下、メインシナリオのネタバレを極力挟まないでの感想になります。

 

・エレオノーラとジュリア

エレオノーラとジュリアはアプリのサービス開始から度々取り上げられる、同じクロニカ出身のコンビですね。『眠れる森、伐採の危機!?』や『永き眠りと孤独の魔女』でも、ここの二人を軸にしたシナリオが展開されています。
あとはエレオノーラがイベントで出てくると大体ジュリアの話をしている気がします。多分してる。イメージだけで書いてるので確証は無いけど。

そんな二人の仲がシルシによって遂に一歩前へ進みました。
エレオノーラが本当にジュリアの事を好きすぎる。ある意味、あの塵箱世界では一番微笑ましい殺意の抱き方をしているかもしれない。
かと言ってジュリアからエレオノーラへの矢印が無い訳では無く、ジュリアも何だかんだエレオノーラの事を大事に思ってるんですよね。気の置けない悪友としてなのか、愛すべき馬鹿としてなのかは一考の余地がありますが。

マリア/エマ/三蔵と、初期から居るアルターたちがこうして深掘りされていくのが二部の良い所ですね。二部の感想書く度に書いてる気がします。でも実際良いんだから仕方ない。オタクは既に目にしていた物を深掘りされるのが好き。

 

 

・クララとアーデルハイド

この二人も同じクロニカ出身で、片方がもう片方を殺そうとしているアルターですね。そして今回のイベントの凶悪さをブチ上げている一因でもあります。
二人が和解して仲良くやっている世界を”甘い夢の世界”や”楽園”とまで評したり、それが異常であると気付きながら身をやつすアーデルハイドを書いたり、その上でそれらを破壊して無情な現実に引き戻したり。あとはクララとアーデルハイドの姿に、先生とアリスを重ねさせたのもかなりズルい。先生、ユーザー共に入るダメージが大きすぎる。

もしもメインシナリオとしてこのシナリオが書かれていたら、ここのパートがもっと厚くなっていたのかと思うとゾッとしますね。精神が保つ気がしない。

いつかこの二人にも”楽園”のようにとまでは行かずとも、今よりほんの少しでも幸せに過ごせる結末が訪れる事を願わずにはいられません。

 

 

・チヅル

ジュリアをフィーチャーしたイベントで実装されたものですから、正直前半部までは色々大丈夫かなと思いましたがしっっっっかり仕事してくれましたね。確かにあのポジションはチヅルが最適でした。先生と初めて会った相手であるからこそ、先生の強引な手引きがあったにせよ楽園から目覚める事を選んだチヅルの強さがより際立ったのではないかと思います。

今後のイベントでチルチルやミチル、鳥繋がりでスワンとかと絡んでも面白いかもしれない。余談だけど動物グループのアルターはそれなりに居ても、鳥類は案外少ない。スワンの他だとキャシーのガチョウやファンバーのツバメやトウカのキジくらいしか居ないし、この三人は動物グループではない。そしてアンジェラは動物グループだけど鳥でも無いし獣でもない。

 

 

・シャンク

本来は寝るべきなのに自分で寝る事を選ばなかったシャンクと、本来は寝るべきなのに他者の力によって寝る事が出来なかったジュリア。近いような、正反対なような、ちょっと不思議な感じです。

着せ替えで寝間着が実装されましたが、クララとチルチルも寝間着っぽい服があるんですよね。クララは着せ替えでチルチルは別キャラとして。偶然とするには少し出来すぎな気もしますが、かといって当初からこういう話が構想にあったから実装したんだ、って言われるのもライター様がどんだけ話のネタをストックしてるんだと怖くなります。

でもジュリアとエレオノーラは初期から居た訳だし、二部で扱っている内容から考えても今回のシナリオの構想自体、事前に練っていた可能性は全然ありそう……。すごい。

 

 

こうして現行のメインシナリオを前提としたイベントが打たれた以上、もしかしたら今後もこういった形式のイベントはたまにあるかもしれませんね。メインだけで掘り下げるにはどうしても枠や尺の問題がありますし、最低限必要かつ重大なネタバレを避けて話を展開出来ると判ったのでちょっと期待してしまいます。

グリムの存在はガチャ告知で公式が流してますし、シルシも幻影も雰囲気だけ理解出来れば全然問題ない箇所ではありますしね。

まあ、今回に関してはジュリアの”夢”という万能な力で普段ならあり得ない事、選ばない選択を選んだ世界を書ける、という部分も多そうではありますが。

 

では今回はこの辺りで締めよう――と思ったのですがちょっと書き漏らした事があったので締めた後に少しだけ追記しておこうと思います。

※なお、追記の内容はメインシナリオ二部三章に関する重大なネタバレを含みますのでまだの方はここでブラウザバックする事を推奨します。

 

それでは、また。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、追記。

 

 

 

・先生とアリス

マジでほんっっっっっっっっっっとに!!!!!!!これをイベントで公開してるの本当にたちが悪いし、あくまでも全部夢ですよ~実際には起こってないよ~みたいなスタンスで貫いてるの最悪過ぎて最高。この後に二部三章やる人への絶望の配慮が完璧。

世界より何よりアリスを選ぶ先生、狂ってて本当に好きなんですよね。前半部のシナリオで感情が昂り過ぎてバグるかと思いました。そうなんですよ、先生は終わりを覆して、結末をなくして、世界さえ壊せるやべぇ奴なんですよ。最高。
そんな先生の望みは、アリスと幸せに過ごしたい。たったそれだけ。最高of最高。

もう個人的にはこの辺りを再確認出来た時点で大満足のイベントでした。それ以外の場所もしっかり良かったので更に大大満足です。

今月末から二部四章が始まる予定です。最初は四月末公開予定だったものがクオリティアップのためにと一ヶ月伸びましたが、ここを経てユーザーにまた熱を高めてもらうという意味でも良いイベントだったのではないかと思います。

 

幻影ではないアリスにまた会える時を心待ちにしながら、本当にここで締めたいと思います。

それでは、また。

『紡がれる理』の話

どうも、てつはみです。

私事ですが、先日ついにアルター・アリスの暮らし称号を手に入れました。狩人アリスの暮らし称号は既に獲得しているので、狩リスアルアリ現パロルームシェア学生概念を日夜妄想して過ごしています。

初期アリスとアルター・アリスが仲良くしてる話とか、もっと公式からも供給してくれて良いんですよ?というかお願いします。それで救われる命があるんです。

 

さて本題。

先日全編が公開された偽りのアリス二部三章『紡がれる理』。今回はそれについての感想記事になります。

 

 

※ここから先は偽りのアリス第二部三章までのネタバレを含みます。ネタバレが苦手な方、自分の目で物語を見届けたい方などはブラウザバックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凄い……凄いとしか言えない……!

・正味、シルシと三蔵を巡る話は今までのマリアやエマと同じ様なボリューム感だとは思うんですよ。
 でも最後の畳み掛けの情報量が多すぎる。何ならプロローグもエグイ描写が無いだけで情報量としては盛り沢山だったので、全編通してずっとカロリーが高かった。すごい。

 

・主役級の全員、キャラが濃いので誰から触れたものか悩み処ですがまずは斉天大聖から。
・『不死身』という属性の扱いが巧い。不死身であるが故の苦悩も、不死身であるが故のリコレクションの穴の突き方も凄く良い。
・不死身として様々な願いを託され、背負い続ける彼女があのリコレクションでの出会いと別れを経てこれからどう過ごしていくのか。それが何処かで見れるのを楽しみにしています。ちょっと歪な三蔵一行としてイベントとかに顔出してほしい。

 

玄奘三蔵、もといシルシ三蔵法師
・これまでのシルシによる衣装/武装チェンジとは方向性の異なる変化でしたが、蓋を開けてみればしっかりシルシ持ちでした。ちゃんと歪んでる。
・でもその歪みの半分くらいは斉天大聖が死にたがるせいなので、斉天大聖はもっと言うことを聞きましょう。

・マリアとエマのシルシが同じだった中で、三蔵のシルシだけ紋様が違ったんですよね。しかも他のシルシが線対称であるのに対し三蔵のシルシはそうではありません。これが先生たちの言う歪みによる物なのか、はたまた別の理由なのか、気になる所です。

 

・忘れちゃいけないのが三蔵法師と斉天大聖、先生とアリスの対比構造ですね。

・大切なたった一人のために世界のルールを変えてしまう。ここの共通項がズルいし、作中のセリフだったり話のタイトルでGrey Wordの歌詞を意識してるっぽいのが本当に最高。
・”キミの、その歪みを上回れば……こちらの勝ちになる。”
 Page.30の先生のこのセリフ、先生自身が自らも歪んでいると自認している様でめちゃくちゃ好きです。
・恐らく他者によって歪まされた三蔵法師に対し、自分の意志でその歪みと同等の思想を持って、世界の摂理を書き換えてしまった先生。先生は既に世界のルールを書き換えた自覚があり、それの修繕のためにグリムとの協力体制を取っていた訳ですが、そこで改めて先生自身と似た存在をぶつけて、更に否定させる。この構図も容赦無くて大好きです。

 

・皆さん大好き、実装されてから毎月復刻されてる事でお馴染みの司書グリム。

・グリムがホントに良いキャラ過ぎる。いや、性格は悪いんですけどね。でも別にグリムは悪い事してる訳じゃないんですよ、性格はかなり悪いですが(褒め言葉)。
・あくまでも世界のルールを壊したのは先生なので、手段や内心はさておいても正しさはグリムの方にあるんですよね。
・ですが正しさだけに囚われず、偽りと失敗の中でそれを肯定して突き進んできたのが先生とアリスです。

・そういえば新年が明けた頃には「アルター・アリスみたいにグリムもエイプリルフールで遊ばれるのかな~」とか考えていたんですが、そもそもエイプリルフールに何もありませんでしたし、想像以上にグリムはグリムでした。
・全てが終息した後に開催される、グリムにグリム童話原典のアルターたちが徒党を組んで蜂起するイベントストーリーに期待しましょう。
・そんなのあるかな、多分無い。
・あったとしても、その時もグリムがちゃんと司書だった場合はアルター側に勝ち目は無い。

 

シルシを持つ謎のアルター、カーレン。

・カーレンは目的もまだまだ分からなくて謎だらけですね。アンデルセンの名前が司書として出てきて、今後のキーになりそうでワクワクしています。
・カーレンの持つシルシはマリアとエマ、三蔵法師の誰とも異なっていました。恐らくこれがアンデルセンシルシ……?
・でも口振り的にまだアンデルセンは司書として復活していないような発言でもありました。ううむ、分からぬ。

 

・アリスはグリムから間接的に先生の好意を揶揄されて動揺してたのが可愛かったですね!アリスはほんとにウブなんだから~~~。

 

 


…………ダメですか?やっぱ触れなきゃダメですか?はい……。

 

・いや、ほんっっっっっっっっっっっっっとにキツイ……。ストーリー上のアリスの処遇については良いんですよ。ヒロインを肉塊にした上で主人公(ユーザー)に殺させるのマジ????とは思ってますが、『偽りのアリス』ってそういう事を積み重ねてきたゲームなので。
・そもそも一部三章でも身体をお菓子にされたり一度死んでたりしてますしね。
・もしかして三章でアリスを酷い目に遭わせるノルマがある?無い。

・ただ、その後にアリスを見るのがキツ過ぎる。ストーリーの中で『居なくなったはずのアリスが居る事への整合性』は与えられたんですけど、そのアリスは先生が創り出した幻影のアリスなんですよね。先生の妄想でしかない幻影のアリスを見るたびに強烈な勢いで精神を削られていき、アリスをパートナーに選んでたりメインのパーティに編成しているおかげで、一時期はアプリを開くの自体が億劫になっていました。

・今ではアリスの代わりにアトラク=ナクアを編成したり毎日パートナーを変えたりすることでアプリを開けています。自分は狩人アリスを選んだのですが、感情の薄い狩人アリスが居た場所に同じく感情の薄いアトラク=ナクアを編成している、という微妙な居心地の悪さには目を背けています。
・違うんです。パーティの都合上アトラク=ナクアが一番合うだけなんです……。

 

とまぁ、色々と書いてきました。本当はもっともっと早く書き上げたかったのですが、自分の中で想像以上にダメージが蓄積していたり、私生活が忙しかったりとしている内にこんな時期になっていました。すみません。

 

先日の生放送で二部四章は四月末開始を予定していると発表されました。グリムが待つタルタロスとは。カーレンの狙いとは。アリスを取り戻す事は出来るのか。二部四章が待ち遠しいですね。

 

それでは、また。

司書『グリム』についての書き殴り

どうも、てつはみです。

 

年の瀬なので(?)早速本題に入りましょう。表題通り、司書である『グリム』についてのお話もとい、書き殴りです。

いつもの事ではありますが、オタクの空想語りなのでそこは悪しからず。ただ、いつにもまして空想成分が多いかもしれません。

結局オチは「良く分かりませんでした!これからも偽りのアリスから目が離せませんね!」って感じになる、と先に書いておきます。

 

さて注意書きを。

※ここから先は偽りのアリス第二部三章プロローグまでのネタバレを含みます。ネタバレが苦手な方、自分の目で物語を見届けたい方などはブラウザバックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めちゃくちゃ悔しいんですけど!!!!!

・というのも前回のブログにて、グリムについてちょっと触れていたんですね。

ironeats.hatenablog.com

二部二章のオタク語りをしている記事の中より、該当箇所を抜粋します。

余談その3。グリム童話ってグリム兄弟が昔話などを編纂して作った童話集の括りなので、厳密にはグリムも作者ではないし、一人で出てくるのもちょっと気になる話ではあるんですよね。グリムが女の子になってるのはもう今更なので何も言いませんよ?

これですね。

グリムが一人で出てくるのは気になったのに、あと一歩届かなかった……っ!しかも考えれば司書は現実の人物がそのまま来てるので、アルターとはワケが違う事くらい思い付けたはずなのに完全に脳死で断定しているのがなお悔しい。
今更じゃないから何とか言ってくれ、過去の自分。

 

・今回の本題はグリムの名前についてです。
 [司書]グリム、本名を『シャルロッテ・グリム・アマーリエ』。前述の通り、実在する人物なのですがこの名前、どこかで聞き覚えがありますね。
 そう、『しらゆきべにばら』の”べにばら”のアルターシャルロッテと『人魚姫』の”人魚姫”のアルターアマリエです。クリムは無関係のはず……そうだよな?

 

 

・以下、シャルロッテ・グリム・アマーリエは生前死後関係無く司書グリムの表記で統一します。また、グリムの灰やグリムの羽根などのアイテムの存在から考えて司書グリムの存在も最初期から設定されていた、とします。
 そうじゃないと、シャルロッテとアマリエに引っ掛かりを覚える意味すら無くなってしまうので。

 

アルターたちの簡単な説明から行きましょうか。

 まずはシャルロッテ。彼女はグリム童話の『しらゆきべにばら』を原典に持つアルターです。原典が世に出たのはグリム童話の第三版の出版年、1837年です。

 続いてアマリエ。彼女はアンデルセン童話の『人魚姫』を原典に持つアルターです。原典が発表されたのは、『しらゆきべにばら』と同じ1837年です。

 

・「おいおい、アマリエの方は原典がグリム童話じゃないじゃん」と思われるかもしれませんが、現実においてグリム兄弟とアンデルセンの間には交流がありました。
 グリム兄弟が60歳くらいでアンデルセンが40歳くらいの頃、アンデルセンがグリム兄弟の家へ訪問しており、その後もなんやかんやで交流は続いていたとされています。

 また、二部二章にて司書グリムが親しげにアンデルセンの名前を出しています。

「…勝手に貴方程度を本物にしては、アンデルセンにも叱られますしね。」

(出典:「ビーンズ・デスゲーム」Page36.ビーンズ・デスゲーム)

 偽りのアリスの世界において司書グリムがグリム兄弟に代わり童話の創作、編纂をしていたのなら、アンデルセンが訪れたグリム兄弟の家に司書グリムも一緒に住んでいたとしても不思議は無いでしょう。

 そのため、アンデルセンが『アマーリエ』の名前を知ることは可能だった、とも考えられます。

 

・って、言いたいんですが、実は問題二つありまして。

 第一に上の出来事って1844年に起きた出来事で、『しらゆきべにばら』『人魚姫』が発表されたのは前述の通り、1837年なんですよ。
 『しらゆきべにばら』に関しては司書グリム本人が作者なので問題は無いんですが、『人魚姫』に関しては現状だと辻褄が合いません。

 第二に司書グリム、没年が1833年なんですね。ここまでの文章の価値がほとんど死にましたね。

 

・強引に解釈するのならば実は司書グリムとアンデルセンは1837年よりも前、もっと言うなら1833年よりも前に出会っていた、とかグリム兄弟の利益のために死んだ事にされてたけど実は生きていて、1844年の訪問の際にアンデルセンは司書グリムに出会いその姿を既作の『人魚姫』に重ねて空想を膨らませていたらそれが意図せず”アイデア”として塵箱世界に落ちてアルターとしてのアマリエになった、とかでしょうか。本当に強引だ……。

 

・強引な解釈を通した場合、何故アンデルセンは物語のヒロイン、それも悲恋のヒロインに司書グリムの名前を使った、もしくは重ねたのか。……分かりません。
 実はアンデルセンは司書グリムに恋をしていて~とか言えない事も無いんですが流石に論拠が無い荒唐無稽な話になってしまいます。仮定に仮定を重ねるのは美しくないってクリスも言ってました。クリスたちはそれで真実を導いていたんですが現実はそこまで甘くないので。

 

 

・なので、シャルロッテの話に移りましょう。こっちは司書グリムの存在がわかっている分、話しやす――くはないんですよね。だってグリム童話、司書グリムの創作と収集して編纂した作品の二つがある上にどれがどっちなのか分からないので、判定が難しい。更に司書グリム本人も結構来歴が謎っぽい。謎しかない。

 

・互いを好き過ぎてクロニカぶっ壊した『しらゆきべにばら』と互いを憎みすぎてクロニカぶっ壊した『ヘンゼルとグレーテル』が同じグリム童話なのを考えるとグリム童話のぶっ飛び方が良く分かりますね。

 

・ただ、『しらゆきべにばら』はほぼ確実に司書グリムの創作じゃないかと睨んでいます。というのも、現実のグリム兄弟は日常的に二人同じベッドで眠ったり、弟が結婚したらそこに兄も付いて来たり、まぁとにかくめちゃくちゃ仲良しだったそうで。
 この仲の良さ、まんまシャルロッテとヴィクトリアなんですよ。いや、まんまではない。聞きかじりの情報でしかないけど、流石に現実のグリム兄弟は違うはず。
 でも司書グリムにとって身近だったはずの人物と、それに似通っているアルターの存在を切り離して考えるのはちょっと難しい。それの片割れに当人と同じ名前が付けられているのなら尚更。

 

・では、どうして司書グリムはそんなキャラクターに自分の名前を付けたのか。これも仮定でしかないんですけど司書グリム、グリム兄弟からあんまり良い扱いをされてなかったんじゃないかな、と。論拠は司書グリムの発言から。

「グリム兄弟の妹……ただそれだけではありません。

 グリム兄弟は妹にすべての創作と編纂を行わせていたのです。

 そして、その栄誉だけを掠めとり、後世に名を残したのはお兄様たちでした。」

(出典:「紡がれる理」プロローグ もう一つの力)

 『行わせていた』『掠めとり』などの司書グリムの言葉のチョイスもそうですが、普通なら妹単独で、欲張るにしても三人で名を残せば良いのに兄弟二人だけの名前で発表する辺りグリム兄弟側からの印象も何となく測れます。

 

・仲睦まじいグリム兄弟と、一人孤立している司書グリム。しかも自分の成果はその兄たちの功績にされてしまう。そんな司書グリムは創作の中に”と仲の良い幸せな自分”を夢見たのでしょう。
 自分も兄たちと仲が良かったら。そうして生まれたのが『しらゆきべにばら』の失敗作であるシャルロッテヴィクトリア。この二人、プロフィール文から分かる通り、姉はヴィクトリアで妹がシャルロッテです。そして司書グリムも、グリム兄弟の妹です。
 仲の良さは完全に行きすぎなので、グリム兄弟を参考に書いていたとするならば、偽りのアリスの世界のグリム兄弟はあのレベルだったのかもしれません。怖い。

 

・メタ読みと願望も入ってますが、『ヘンゼルとグレーテル』も司書グリムの創作だったら良いなぁ。間近で仲睦まじい兄弟を見つつ、殺し合う姉妹を書いたんだとしたら内心かなりキレてたんだろうなって思えて面白いし、アルター・グレーテルに関しても『ああいう事を言いそうだと見えていた』とも取れるので面白い。

 

・作者と物語のキャラクターを結び付けるのがあまり好ましい行為じゃないのは分かっているのですが、アルターたちは全員魅力的なキャラクターなのでつい結び付けて考えてしまう。司書グリムとグリム童話アルターたちがわちゃわちゃするイベント、絶対いつかあるでしょ。

 

とまぁ、色々書いてきたんですが結論としては分かりません。でもわざわざ名前を合わせてたり、このタイミングでアマリエをイベントに出したり、疑わしい箇所は沢山あるので疑ってみました。

これで全部大外ししてたら司書グリムにはそれこそ気持ち悪い深読みだと罵られるのでしょうが、先の見えない物語を読む醍醐味ってこういう所だと思っているのでそれはそれで良しとしましょう。

 

それでは、また。

 

 

 

 

『ビーンズ・デスゲーム』の話

――雪の降る大晦日。手も足もかじかませて寒さに身を震わせる一人の少女が、街往く人々に声を掛けます。

「どなたか、重い過去を持っているのにそれを一切明かさずにユーザー目線で二年間以上商魂たくましいおちゃらけキャラとして振舞い続けていた少女はいりませんか?」

 

どうも、てつはみです。

 

先日全編が更新された偽りのアリス第二部二章『ビーンズ・デスゲーム』。今回はそれの感想記事になります。

 

※ここから先は偽りのアリス第二部二章までのネタバレを含みます。ネタバレが苦手な方、自分の目で物語を見届けたい方などはブラウザバックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エマ最っっっっっっっっっ高!

・偽りのアリスというゲーム、ユーザーとの時間の使い方が上手すぎる。

 一章のマリアも今回のエマも、アプリの最初期から居たアルターなので人によってはアリスと同じくらい一緒の時を刻んできているアルターな訳です。それで無くても、特にエマに関してはイベントだったりショップだったりでもちょくちょく見る機会があるんですよね。

 だからどういう子なのかもある程度は理解している。いや、理解しているつもりになっている。その知っているはずのアルターが今まで隠し続けていた過去を解放して敵となる。こんな展開は皆大好きだし、アルターの事ももっと好きになるに決まってるじゃないですか。

 

・やっぱりマリアとクリス良い~~。こういうゆるっとした会話がもっと見れるのありがたい。

 

・キャシー……お前……。こういうキャラクターを出しても「まあ偽りのアリスだもんな」で飲み込めるのが偽りのアリスの強さでもあると思うんですよ。いや、正直あそこまでヤバいのを見せつけられると飲み込み切れないで喉の辺りで詰まってる気もするけど。ロキはそういえば一部四章でも辱めを受けてたな、とか思ったり。

 

・今回、アルター・ジャックが敵対するキャラではあるけど悪役では無い描かれ方をしていてちょっと新鮮に感じました。エマというより大きい悪役がいたからこそだと思いますが、敵でありながら後半では応援したくなるというか、強い言葉を使うなら主人公然としていた、とでも言うべきかもしれません。
 どうしても先生とアリスを主人公として見てしまうので、ジャックたちは”主人公”よりも”仲間”という言葉がしっくり来てしまうのもありますが。
 それでもやっぱり、グリムと対峙した時のアルター・ジャックの言葉は心に迫るものがありましたね。

 

・『惜しい』失敗作と『試作段階』の失敗作が存在する。創作において迷走とか模索なんて日常茶飯事だし、そりゃそうなんだけどこの世界でいざ言葉にされると重みが違う。

 

・本物になるチャンスを貰っても、この世界で出来るのが作者の脳内に帰るところまでなのだとしたら、『試作段階』のアルターが本物になれる可能性はあるのだろうか。……無いとは言わないけどかなり低そう。

 もちろん作者が悪い訳では無いんだけど、やっぱり何とも言えない気持ちになってしまう。最後の決定権が外部に委ねられてしまうなら、この世界の争いの意味とは。*1

 

・Page40以降、ストーリーにオルタナティブを選んだ時の(A)の表記が最初から付いてるんですね。だからきっと本当はあの選択は正解じゃなくて、もっと簡単な正解があるんですよ。それこそ一部五章でアルター・アリスの願いを聞くように、二部一章でマリアを殺すように。
 でも先生たちはそんな正解を選ばない。それどころか、もう選択肢の一つにすら出てこない。間違いであろうとも、あの場で言う言葉は『帰ってきてほしい』以外に無い。その決意をシナリオだけでなく、メタ的な目線でも描写してくれるのが本当に最高。

 

エマ~~~~~~!!!!!

 これまでの二年間、エマのクロニカがこんな話だったなんて一ミリの匂わせも無かったのに満を持してこれを持ってくるの、本当にズルい。

 個人的な話ですがサービス開始最初期、エマをパーティに採用してた時期がありまして。その時にキャラストーリーも読んで「結局この子のクロニカはどんな感じだったのだろうか」と思った記憶があるので余計に刺さりましたね……。*2
 ちなみに今はまたパーティに加わって元気にやってます。エマ強いんだもん。

 着せ替え購入のストーリーもホントに最高。有料コンテンツなので詳しくは語りませんが一言だけ。エマは間違いなく『マッチ売りの少女』です。

 

・たった二つの台詞を使って全力でマウント(マウントではない)を取るアルター・アリスよ。すき。

 

アルターの話も尽きませんが、これからは司書の話。こっちも色々動きがありましたね。

 

・既にちょろっと名前を出しましたが、ついに前司書グリムが登場。一章最後でシルエットだけ出てた時に(あの頭の横のクルクルなんだ……?)と思っていた謎が解決されて自分としてはもう満足しました。嘘です。

 思えば、アイテムにグリムの名を冠する物がいくつかあったりグリムの服にも薔薇の模様があったり、もしかしたら今の塵箱世界のシステムはグリムが作ったものなのかもしれない。リデルちゃん、ちゃんと司書のお仕事しようね。

 

・第一部における司書はアリス・リデル。そしてその前の司書がグリム。当人たちの発言でもそこに間違いは無いんですが、実はいくつか気になる事がありまして。

まずは記憶に新しいグリムの台詞から。

「前・司書、アリス・リデル。

 一度奪った司書の座を一方的に私へと返還してきて。

 その上……私の邪魔を」

(出典:ビーンズ・デスゲームPage41(A).決意)

一方でアリス・リデルはこう言っています。

「きっと、司書に選ばれたのは、このためだったんです……」

「私は……私には、関係がないっ!

 司書の役目なんて、押し付けられただけなんだから……ッ!」

(出典:「アリス」Page6.アリス・リデル)

 そう、二人の言い分がどうにも食い違っているんですよね。リデル曰く、本来司書には物語の作者や関係の深い人物が選ばれるとの事。これを本当だとして仮定を立てるなら、

 司書としてふさわしくないはずのリデルを誰かが何らかの方法で無理矢理司書にする→そのせいで当時の司書であったグリムは司書の座から弾き出される→司書の座に収まったリデルをグリムは敵視。みたいなのが一番それっぽい。

 

・一応、上の説を補強する材料としては、リデルが司書として不完全である、という事が挙げられます。

 リデルは失敗作を本物にするため、司書の意思の他シルシが必要であるとして幻体を使ってアルター・アリスにシルシを付けさせようとしました。でも、二部で再度司書になったグリムは自分で好き勝手にシルシを付けています。

 マリアだけなら『本来の作者*3だから出来た』という可能性がありますが、エマに関してはエマもグリムも言っている通り、アンデルセンの作品です。グリムは何も関係がありません。

・つまり本来『シルシは司書が自由に付ける事が出来る』わけです。だからリデルは、そのままアルター・アリスにシルシを付けてリコレクションを見届けるだけで良かった。でもそれをしなかった。リデルの目論見からしてそうしない理由は無いので、シルシの存在は知っていてもそれを自分で付ける事が出来る事は知らなかったんだと思われます。

シルシなしでは、私でもアルターたちを本物にはできません」

シルシと、司書の意思。そのふたつが揃って初めて、現実の物語に干渉ができます」

出典:(「アリス」Page5.あり得たもうひとつの旅路)

 なのでこれも恐らく言葉足らずで本当は、シルシ(を持ったアルターがリコレクションした物語)と(その物語にGOサインを出す)司書の意思が揃って初めて(作者の脳内にアイデアとして戻ることが出来る)、みたいな話なんじゃないでしょうか。

 

・司書のシステムや権限がどうやって引き継がれるのか、マニュアルの書かれた分厚い紙束があるのか、司書になった途端脳内に流れ込んでくるのか、はたまた前・司書から口頭で引き継ぐのか、それは分かりませんがリデルに司書としての知識が欠けているのは非正規の方法で司書となったから、だとすれば納得は出来ます。リデルちゃん、仕事してとか言ってごめんね。

 

・さて、ではリデルを司書にした誰か』って誰?そもそも何のためにリデルを司書に?

A.どっちも分かんない。パッと思い付く関係者としてはルイス・キャロルが居ますが、目的は予想も出来ません。今後の更新を楽しみにしておきましょう。

 

三章のプロローグは年内公開予定とのこと。三章プロローグでまたピリピリしてから、年始でダラダラしてる先生を見る事になるのでしょうか。脳がバグりそうで良いですね。

 

それでは、また。

*1:

余談その1。シルシの特別性を度々説いているグリムがわざわざシルシを与えているマリアやエマは『惜しい』側のアルターなのかな、と考えられます。ところで、作者の手によって葬られた『惜しい』側のアルターだと明言されてる子が一人居ましたね。メンタルブレイクの気配がします。

*2:余談その2。ちょっと前にルゥのキャラストーリーを読み返したら、
「他のアルターには何も感じないのに…先生を見てると…とってもお腹が空いて…」
ってセリフがありました。二年前は別に何も感じなかったんですが今になってみると、先生が実在する人間(リデル)から創られた存在である、というのをルゥの『人間の肉を必要とするアルター』という特性に絡めて遠回しに描写していたんだな、と気づいて凄すぎ……ってなりました(小並)

*3:余談その3。グリム童話ってグリム兄弟が昔話などを編纂して作った童話集の括りなので、厳密にはグリムも作者ではないし、一人で出てくるのもちょっと気になる話ではあるんですよね。グリムが女の子になってるのはもう今更なので何も言いませんよ?

『吐き出した毒林檎』の話

鏡よ、鏡。この世で一番美しいのはだあれ?
女王さま、それは激重感情を持った女の子にございます。

どうも、てつはみです。

 

第一部の旅を経て、副題を『クロニカ・リコレクション』と新たに銘打ち始まった待望の第二部一章『吐き出した毒林檎』。先日、その全編が更新されました。
という訳で今回はその感想記事になります。

 

 

※ここから先は偽りのアリス第一部全編及び第二部一章のネタバレを含みます。ネタバレが苦手な方、自分の目で結末を見届けたい方などはブラウザバックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

――ブラウザバックしました?

――――もう大丈夫ですか?

――――――話しますね?

 

こういうくどい事するの、嫌いじゃないんですけどやりすぎると折角読んで下さってる方もブラバさせてしまいそうなのでこの辺で。

手早く本題に入りましょう。

 

ホンッッッットに最高……!!!!!

・単純なストーリーとしても、キャラクター達の感情の交錯としても、クロニカ・リコレクションという新たな展開の見せ方としても、何もかもがあまりにも完璧すぎる。

 

・クリスやっばい。あんな如何にも厄介そうな登場&立ち回りをしておいてその実、めちゃくちゃ義娘が好きなだけっていう単純かつ最強の行動原理。それ故に、グリムがクリスにシルシを付けてたら滅多な隙も無く完璧な、自分がマリアに殺されるリコレクションを成立させてたんだろうな、って想像出来るのがなお怖い。

 でも、マリアの根底にある『食事』という行動がシルシによってフィーチャーされて暴食に至ったのならクリスも同様にバグって、マリアへの愛を爆発させるリコレクションになってたのかもしれない。それはそれで怖い。

 

・マリアもやっばい。サービス開始から居たキャラクターをあそこまで綺麗に活かせるの、どこまで考えてたんだって思ってしまう。

↑『偽りのアリス』のシナリオライターである富岡さんの、第一部完結後のツイート

上のツイートを見る限りマリアとクリスの関係性(それどころかクリスの存在自体)も、マリアの過去も、『悪食』のダブルミーニングも、描かれる事無く終わってた可能性もある訳で。そんな世界にならなくて本当に良かった。

 親子親子してるマリアとクリスめちゃくちゃ良き~~~~~~~。ずっとあんな事してて欲しいな……。マリアにめちゃくちゃ嫌がられても思春期の娘可愛いなーでやり過ごせるクリス側が強すぎる。

 

スノーホワイトもやっばいんだ。今回のメインキャラである三人の中で一番マトモなのは彼女かもしれない。嘘、マトモではない。マトモだったら最初からもう少し話を聞いてくれる。

 でも大切な七人の小人を殺されて激昂したり、クロニカで叶わなかった理想を敵であるクリスに見つけてしまったり、それを圧してもクリスとマリアの世界を見守ったり、一番人間らしいのはきっと彼女なんだよな。素直になって二人に混じってきて良いんだよ、クリスも別に拒まないだろうし、マリアは矛先が逸れて喜ぶよ。

 

・シンデレラとアルター・グレーテルが来るの、予想外とかそういう次元じゃなくビビった。メインストーリーで相対して、障害として乗り越えてそれで終わり。じゃなくてあくまでもあの箱庭世界で彼女たちなりに前を向いて生きている。そういうの、良いですよね。

 ちょっとだけ夏イベの話。シンデレラの『不幸酔い』をああやって使うのズル過ぎる。第一部二章であんな慟哭した奴が、それからしばらくして海の家でかき氷ショリショリしてるとか誰が想像出来るのか。でもそんなシンデレラも可愛いのでオッケーです。

 

・どけ!先生はアリスの親だぞ! 第一部五章でも話にはあったけどいつかアリスと先生が離れる日が来るかもしれない。それはアリスが本物になるのか、他に大事な物を見つけるのか、はたまた違う何かが起こるのかは分からないけど、そういう日が来るのは決して”無い話”ではない。うわ~~~~、子離れ出来る気がしなーい。

 書いてて普通にしんみりしてきてしまう。遠くに行ってもお正月とかお盆とかにはこっちに帰って来てくれたりしないかな……。食事もお金もさほど要らないアルターには何を仕送りしたら良いんだろう…………。

 

・トゥイ―ドルディ/ドルダムは……うん、災難だったね……。厄介事を吹っ掛けやすく、退場させやすい。その上リコレクションにおいては例外として描写がしやすい。こんな言い方をすると怒られそうだけど、とても便利。

 

・最初にスノーホワイトと出会った時、スノーホワイトは木の上になった林檎を一人で採ろうとして、失敗して倒れていました。

 それに対し、物語の最後でマリアとクリスは肩車をして二人で協力する事で木の上の林檎を手に入れるんですよね。

そういう事するのは反則でしょ!!!

 

・しかしそうして得られた美味しそうな林檎も結局は酸っぱかった。でもその酸っぱさだってやっとの思いで掴む事をしなければ分からなかった。それはきっと、最初から諦めて「どうせあの林檎は美味しくないさ、だから食べなくても良いさ」って自分の中で終わらせるよりもずっとずっと意味のある行為だと思うのです。

 

・ところで、どうしても手が届かないブドウに対してどうせあんなブドウは酸っぱくて食えたもんじゃないから食べられなくても良いさと諦める、って主旨の童話がありまして。『酸っぱい葡萄』って話なんですけど、第二部一章の完結と同じタイミングでそのアルターが実装されて、その子をメインにしたイベントも始まってるんですよね。

 考えすぎかもしれないんですけどもし全部計算づくだとしたらもう、膝を打つ他ありません。構成が巧すぎる。

 

 

偽りのアリス第二部『クロニカ・リコレクション』。新たなる司書の存在も明らかになり、まだまだ始まったばかりのこの物語。今後どう話が進んでいくのか、誰のリコレクションが行われるのか、興味は尽きませんが今日の所はこの辺で。

それでは、また。

 

 

竜宮城の話~夏の終わりまで~

長かった夏イベもついに終わったな~と思ったら終わりませんでしたね。

どうも、てつはみです。


でも実際そんなもんなのかもしれない。あの世界には季節の移ろいなんて無い訳で、プレイヤー目線から見たらイベントは一つ一つ時間が来ればスッパリと終わってしまうのだけど、彼女たちからしてみればそうじゃない。もしかたらこちら側には見えない幕間で、ひっそりとイベント後のロスタイムを楽しんでたりするのかもしれない。

それぞれの盛り上がりで使ったものを片付けながら過ぎた日の事を思い出したり、名残惜しくて気分が中々日常に戻って来れなかったり、そういうものをいつも感じているのかもしれないな~、なんてことを考えたり。


さて感想。

・イベントの話。ニャルラトホテプの我儘で始まったヒトナツノオモイデる(動詞)ためのイベントでしたが、色々な事があった。海に潜ったり陸に帰されたり海に潜ったり陸に帰されたり……あれ?


・イベントのいざこざが起きた原因の半分は『レヴィアタンがメスガキだったせい』で片づけられる辺り、メスガキという属性の強さを感じる。あとの半分はニャルラトホテプで追加でちょっとだけアマテラスのせい。


アルター・グレーテルが真っ当な心のやり取りをしているの、感動する。レヴィアタンに有無を言わさず命を救われたから、自分も同様に有無を言わさず助ける。生贄願望とか歪んだ愛とかじゃない、そういう綺麗な感情と行為の押し付け合いを出来るようになったのか……。アルター・グレーテルに純粋な優しさを持って接してくれたレヴィアタンには感謝する他ない。

二人とも、接点を持ったからってベッタリになるタイプでは無いだろうけど、それなりに仲の良い友達くらいの関係性で気にし合ってくれてたら良いなぁという妄想。


・シンデレラとアルター・グレーテル、ともに第一部で大事なポジションを務めた二人なのに、めちゃくちゃ現状が違うの無性に面白い。シンデレラのコミカル適性が高すぎるのか、アルター・グレーテルが重すぎるのか。答えは多分どっちも。どっちも良い感じに幸せになってくれ。



長かった夏ももうすぐ終わり。延長した分も含めて。夏が終わって次は秋のハロウィン、の前に十月の初めにはイツアリのサービス開始二周年。更にその前にplanetarianとのコラボイベが。……彼女たちも案外余韻に浸っている暇は無いのかも。


それでは、また。